ロシアが「フィギュア王国」になったわけ ─ ラフマニノフは「普通の教養」

クーリエ・ジャポンの「特集:世界フィギュア、ライバル国はこう報じた!」に興味深い記事、「美女と芸術の国、ロシアはこうして「フィギュア王国」となった」が掲載されていたのでご紹介します。

フィギュアスケートの話ではありますが、バレエにも通じる部分が大きいと思います。

ロシアは長年、フィギュアスケート王国として知られ、数々の名選手、メダリストを生み出してきた。そこには優れた選手が生まれるための豊かな土壌がある。

ラフマニノフの他にもチャイコフスキーやプロコフィエフなどの著名な作曲家、世界的なバレリーナや音楽家を生んだロシアは芸術大国である。
スケーターやバレリーナはただ音楽を表現するだけはなく、その曲が生まれた時代背景や曲の意味まで学ぶ。上位選手になって有名コーチにつくずっと以前からである。

たとえばロシアの先生はとても厳しい。フィギュアスケートに限らず、ピアノ、バレエにしても、ロシアの教師は要求水準が高く、容赦しない。課題をこなせなければ、怒られかたも日本では考えられないくらい恐い。おおよそロシアには「精神的苦痛を受けた」などという考えは存在しないのではないかと思われるほどだ。

やる気のない生徒をなだめすかすなどということもしない。代わりはいくらでもいるし、そうでなくても競争相手が追い抜こうと狙っているのだ。
生徒は自分が何をしているか、何をしたいか、何になりたいかわかっている。自分でできることは先生に会う前に習得しておくのがお約束だ。

今の日本のいわゆる「ゆとり」教育を受けた生徒とその親が見たら、何と言うだろうか。しかし教師は意地悪で生徒に厳しくするわけではない。課題も生徒ができると思うから与えるのであり、上手くできればちゃんと褒めてくれる。
先生と生徒の関係は対等で、意見をぶつけ合うこともできる。

今回の世界選手権で優勝したまだ16歳のエフゲニア・メドヴェージェワは、「憧れの選手は浅田真央」と話す。
大の日本好きで知られるメドヴェージェワのインスタグラムには、日本のお菓子やアニメのキャラクターが並び、羽生とのツーショットに「最高!」と呟く。優勝インタビューを受けているのが日本のテレビ局と知ると、自らセーラームーンの歌詞をそらんじてみせ、話題になった。
この世代にとっての日本のイメージは、マンガやアニメであり、浅田や羽生は憧れなのだ。

ラフマニノフは「普通の教養」であるロシア、しかも単にそれを知っているだけではなく、きちんと「その曲が生まれた時代背景や曲の意味まで学」んだ上で、教養として身につけ、それを表現する、しかも教師の要求水準は高く、厳しい、しかし、「先生と生徒の関係は対等で、意見をぶつけ合うこともできる」という伝統がある国がロシアなんですね。
そういった一面だけを見れば、これほど芸術家や表現者が育ちやすい環境はないとも思います。

しかし、その裏ではおそらく、トップの座へとたどり着けずに挫折し、切り捨てられていく人も多いでしょうし、日本のように「習いたいという気持ち」さえあれば、バレエでもフィギュアスケートでもどんなことでも自由に習うことができる環境ではないと思います。

どちらが良いとは一概に言えませんし、それぞれにメリット・デメリット、あるいは社会的背景があるので、簡単に判断できるものではないと思います。
ただ日本ではもう少しだけ、例えばラフマニノフは「普通の教養」に近づくことができれば、そして、街の劇場に足を運ぶ人が増えて行けば良いなと思います。そういう環境をこれからどのようにすれば作っていけるのか、個人的にいろいろ考えていきたいと思いました。

今回紹介した「美女と芸術の国、ロシアはこうして「フィギュア王国」となった」以外にも「特集:世界フィギュア、ライバル国はこう報じた!」には興味深い記事が(無料で読める記事は限られていますが……)たくさんあります。
もしよろしければみなさんも是非!

美女と芸術の国、ロシアはこうして「フィギュア王国」となった | クーリエ・ジャポン

http://courrier.jp/news/archives/48300/3/