時代とともに変わる『ロミオとジュリエット』

毎日新聞の「Shall・we・バレエ?」に「三様「ロミオとジュリエット」 時代で変わる宿命」という記事が掲載されていますね。

 3連発の先陣を切ったのは、TOHOシネマズ日本橋などのライブ・ビューイング。英ロイヤル・バレエの直近の舞台を上映した。日本でもおなじみの、マクミランによる振り付けだ。

沙翁劇の本場らしくドラマは盛り上がり、いよいよ終幕。墓場に残ってジュリエットを悼むパリスを、駆け込んできたロミオが出合い頭に刺殺する。「遺恨覚えたるかっ」という浅野内匠頭のせりふが聞こえるよう。彼は数日前にも殺人を犯しているが、相手は目の前で親友を刺したかたきであった。今度のパリスには何の落ち度もない。無益な殺生を避けようとしていたロミオが一転、凶刃を振るう姿に、絶望の深さがしのばれる。

中旬には独シュツットガルト・バレエが東京文化会館でクランコ版を披露した。「妻」の遺体を挟んで同じ嘆きの中にいた2人が互いの存在に気づき、偶発的に殺人は起こる。自身の鏡像を葬るような演出で、運命の皮肉がひとしお胸に迫った。

半月後、同館で露マリインスキー・バレエが上演したのは、ラヴロフスキー版。何と、パリスは殺されない。埋葬をすぐに切り上げ、ロミオとはニアミスで済むのだ。招聘(しょうへい)元ジャパン・アーツによると、旧ソ連時代に当局が介入し、パリスは命拾いをしたのだとか。善意の第三者が巻き添えを食うのは社会主義に反する、という判断だろうか。おかげで主役が「最も気の毒な登場人物」に浮上している。

この3版の初演は順に1965年、58年、40年。つまり観客はバレエの劇的な深化を、さかのぼる形で目撃したわけだ。パリスの扱い一つにも、振付家の世界観や制作の背景が透けて見える。同じ作品が演出や演者によって千変万化するのがバレエの醍醐味(だいごみ)。未見の方は来年ぜひ、比較の妙を味わってほしい。

このように時代や演出家、バレエ団の個性で内容の解釈が変わるのは古典物語の醍醐味だと思います。
『ロミオとジュリエット』なら演劇や映画と見比べても楽しかったりします。
他の演目でもいろいろなバレエ団を見比べると興味深かったり、自分の好みがよくわかったりして非常に楽しめますね。

Shall・we・バレエ? | 三様「ロミオとジュリエット」 時代で変わる宿命 – 毎日新聞

Screenshot of mainichi.jp

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