ミスティブームの光と影 ─ 「黒人プリマの活躍に透けるアメリカ社会の本音と建前」

WEDGE Infinity(ウェッジ)に、アメリカン・バレエ・シアター(ABT)のプリンシパル、ミスティ・コープランドさんやアメリカ社会における人種差別問題などを切り込んだ記事「黒人プリマの活躍に透けるアメリカ社会の本音と建前」が掲載されていますね。

「いやあ、もう見たいダンサーがあまりいなくて。話題と言えばミスティだけど、踊りは相変わらずいただけない。でも彼女をけなしたら、racist(人種差別主義者)と言われるからねえ」

ミスティの昇格が発表されたとき、コアなバレエファンの間では「なぜ彼女が」という疑問の囁きが多く聞かれた。

だが純粋に1ダンサーとして、プリンシパルに相応しい実力かどうかというのは賛否両論。いや、はっきり言うと長年バレエを見てきた人々の間では、「彼女が白人だったなら、今でもコールド(群舞)の一員だっただろう」という意見が主流なのである。

 Play the race card.とは、主に黒人がマイノリティであることを利用して、有利な立場に自分をもっていくことを意味している。

でもそんなことは、とてもおおっぴらに口にできない。熊川哲也氏もどこかに書いていたが、もともとクラシックバレエ界とは白人至上主義の世界である。その中で、ようやく黒人プリマが誕生したのだ。

 今シーズン、ミスティ主演の日だけはチケットが完売になったようである。何度もマスコミに登場している話題の彼女を一目見ようと、バレエファン以外の人々も劇場にやってきたのだろう。その意味では、ABTの経営陣のもくろみは成功した。

 アメリカ社会には、現在でも人種差別が歴然と存在する。その一方、マイノリティの成功者を必要以上に持ち上げることで「だから自分たちはフェアなのだ」と主張してバランスを取ろうとする一面もある。

アメリカ社会の本音と建前といったところだろう。ミスティ・ブームは、こうしたアメリカ人の罪悪感とうまくマッチしたのではないだろうか。

非常に難しい問題ですね。
舞台芸術はお客さんが来ないことには成立できないわけですから、どうにかして客席を一杯にする必要があります。
なおかつ、客寄せパンダを使っていると揶揄されようとも、それがパンダではなく熊を用意してもお客さんが来ないわけで、パンダとして有用性をお客さんから認識される限り、お客さんを集めるためにパンダを利用することは間違っているわけではないと思います。

ただABTの場合はその背景に人種差別問題や経営難など様々な要因が存在するために、難しい問題となっていると思います。

一番手っ取り早い解決方法は、ミスティ・コープランドさんが誰からも認められる人気と実力を備えたダンサーとして成長するなんでしょうね。

黒人プリマの活躍に透けるアメリカ社会の本音と建前  WEDGE Infinity(ウェッジ)

Screenshot of wedge.ismedia.jp

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