英国ロイヤル・オペラ・ハウスの長期戦略

Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)に、英国ロイヤル・オペラ・ハウスの世界を見据えた長期戦略に関する記事「「450年先」を見据える英国ロイヤル・オペラの長期戦略」が掲載されていますね。

「オペラは金持ちの道楽」と敬遠する人が多いのは、日本だけでなく欧州も同じ。では、ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスの客席が、毎晩賑わうのはなぜか。その背景には、世界を見据えた長期目線の戦略があった。

オペラとバレエの公演数は年間約320回にのぼり、入場者数は70万人を超える。ロンドンのコンサートホールでは、空席が目立つクラシック音楽の演奏会も少なくないが、ROHは96%という入場率を誇る。ちなみに、テムズ川の反対側にある演劇の殿堂、ナショナル・シアターの入場率は88%だ。

非営利法人によって運営されているROHの収入は、年間1億3110万ポンド(約192億円)。米メトロポリタン・オペラの3億1075万ドル(約344億円)にはかなわないが、ウィーン国立歌劇場の1億1771万ユーロ(約154億円)を上回る。収入は右肩上がりで、17年連続で黒字を達成している。

「舞台鑑賞は、本質的には共同体活動。世界中で同じ瞬間を共有しているという感覚は格別です」

これだけ大がかりで莫大な費用のかかるものを野外上映やYouTubeで惜しげもなく無料公開するのはなぜか。ビアードCEOはこう話す。

「劇場の座席数は限られています。オペラには450年の歴史があり、この先450年も続くはず。だとすれば、新たな観客を惹きつけてオペラハウスとの長期的な関係を持ってもらうことは非常に重要です」

ROHは特に、映画市場が急成長中の中国に注目している。昨年、中国での映画館上映は3作品にとどまったが、今年は6作品に拡大する。直接劇場に来る人を増やすことだけが観客を増やす手段ではない。劇場外でそれに近い体験ができるとなれば、地球全体が客席になるわけだ。

最も成功しているのがYouTubeチャンネルで、登録者数は26万人を超え、5万人弱にとどまるメトロポリタン・オペラを含め、他の歌劇場に圧倒的な差をつけている。たとえば、『カルメン』の有名な曲「ハバネラ」の動画は、700万回近く再生されている。また、人気の歌手やダンサー、指揮者などが登場する「インサイト」と呼ばれるトークイベントやバレエの公開リハーサルは、1時間半近くの内容が丸ごとアップロードされていて、見ごたえ十分だ。

「若いうちに興味の種をまいておけば、仕事や家庭で忙しい20〜30代は劇場から足が遠のいても、40〜50代になって種が育ち、戻ってきてくれるかもしれません」

非常に読み応えのある、興味深い記事です。
目先の損得にとらわれず常に市民の目に触れるように努力し、「450年先」を見据えて観客を育てつつも、常に利益を生み出し続ける英国ロイヤル・オペラ・ハウスは本当に素晴らしいなと思います。

日本のバレエ団や劇場も、もっとYouTubeなどを活用し、彼らが持っている「面白さ」がたくさんの人の目に触れられるように努力して欲しいなと思います。
もちろん日本でも努力している人たちがたくさんいらっしゃることも知っていますが。



「450年先」を見据える英国ロイヤル・オペラの長期戦略 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

「450年先」を見据える英国ロイヤル・オペラの長期戦略 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

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