日本のバレエ界の問題点 ─ 「なぜ日本人バレエダンサーはローザンヌで活躍するのか?」

dメニューTVに、近年のローザンヌ国際バレエコンクールで日本人が活躍していることからあぶり出される日本のバレエ界の問題点についてのコラム「なぜ日本人バレエダンサーはローザンヌで活躍するのか?」が掲載されていますね。

なぜ日本勢はこんなにローザンヌバレエコンクールに出場したいのか。かつての私もそうだったが、要は海外のバレエ団、特にヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアで踊りたいと考えているからだ。特にヨーロッパはバレエの本場である。舞台数も多く、色々な演目を踊るチャンスに恵まれる。そしてバレエダンサーと言う職業が、日本よりもシステムとして確立していて、ちゃんとしたお給料をもらうことが出来る。いっぽう日本では例えプロになっても、お給料はほとんどゼロに等しい。プロフェッショナリティとしてのバレエダンサーの位置づけが大きく異なるのだ。

そう考えると、海外で踊りたい日本人の若いダンサーが、ローザンヌバレエコンクールに出場したいと考えるのは当たり前だ。ところがヨーロッパ勢の出場者は特に少ない。欧州にはしっかりしたバレエスクールがあり、一流のバレエスクールを卒業すれば、直結のバレエ団や他のバレエ団に入りやすいので、わざわざローザンヌバレエコンクールに出場する必然性は乏しい。日本人出場者にとってローザンヌバレエコンクールに“出場する”“決戦に残る”そして“入賞をする”と言うことは、ヨーロッパの若いダンサーの卵達と一緒に一流のバレエスクールに入学するか、バレエ団で研修をする事が出来るチャンスをつかみプロのバレエダンサーになれるかもしれないスタート地点にようやく立つチケットを貰う登竜門のようなものなのである。

最後に、このことだけは言っておきたい。若いバレエダンサーの現実は、ローザンヌに出場しなかった子、ビデオ審査で落選した子、そしてローザンヌバレエコンクールの決戦に残れなかった子達が圧倒的に多い。それでもバレエを一生懸命にやっている子が将来良いダンサーにならないとは限らない。どこで、また違うチャンスが巡って来るかわからないからだ。だから諦めず、夢を捨てず、自分が信じたバレエを精一杯踊っていってほしいと願う。未来のバレエダンサーに栄光あれ!

いろいろと考えさせられるコラムでした。
特に「日本では例えプロになっても、お給料はほとんどゼロに等しい。プロフェッショナリティとしてのバレエダンサーの位置づけが大きく異なるのだ。」ということについて、日本のバレエ界が抱える大きな問題点であると思います。
少しずつ改善されているとは思いますが、それでも、ダンサーを職業として生活していくには、日本にいたままではかなり厳しいと思わざるを得ません。

海外で活躍する日本人ダンサーの姿を誇らしいと思う反面、日本国内でも彼ら彼女らが充分に活躍でき、生活出来る場ができることを願ってやみません。
このサイトでも何度か紹介している「2016年問題」も含めて、行政や大企業などからの援助であったり、「劇場に通う文化」が広がることが問題解決への第一歩になるのではないかと思います。

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