2020年お正月のバレエ関連番組

気がついたら大晦日となってしまいました。
みなさんはどうお過ごしですか?

おそらく今年最後の更新となるので、2020年のお正月に観られるバレエやクラシック関連のテレビ番組をまとめておきたいと思います。



地上波

ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2020

2020年1月1日 NHK Eテレ 午後7時00分~午後10時00分
再放送 2020年1月11日 NHK Eテレ 午後2時00分~午後5時00分

お正月恒例の「ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート」。黄金のホールで奏でられる極上のワルツやポルカを楽しむ。現地特設スタジオのゲストは俳優の草笛光子さんと中谷美紀さん。ウィーン・フィル楽団員とともに、コンサートの魅力をたっぷりお伝えする。指揮は期待の俊英アンドリス・ネルソンスが初登場!生誕250年のベートーベンのダンス!番組にはサプライズゲストも出演!? ワルツ「美しく青きドナウ」ほか。

【ゲスト】草笛光子,中谷美紀,ヴィルフリート和樹ヘーデンボルク,ダニエル・フロシャウアー,【出演】指揮…アンドリス・ネルソンス,ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団,ウィーン国立歌劇場バレエ団,【司会】森田洋平

元日の恒例「ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート」。2024年の指揮は、ウィーン・フィルと篤い信頼関係で結ばれたクリスティアン・ティーレマン。生誕200年を迎えるブルックナーの作品が初登場!シュトラウス一家の名ワルツ、同時代の隠れた名曲…盛り沢山の曲目に加え華麗なバレエにも注目です。現地ウィーン特設スタジオには作曲...

東急ジルベスターコンサート 2019-2020

2019年12月31日 テレビ東京系列局 午後11時30分~24時45分
毎年恒例の「東急ジルベスターコンサート」ですが、今年もテレビ東京系列局で、2019年12月31日夜11時30分から放送されるそうです。 ...

BS・CS放送

BS1スペシャル バレエの王子になる! “世界最高峰”ロシア・バレエ学校の青春

2020年1月2日 NHK BS1 午後3時00分~

世界屈指の名門バレエ学校で美しい若手イケメンダンサーたちが自らの限界に挑む!トッププロを目指す19歳の日系人の若者に密着。競い合う仲間は10年に1人の逸材と呼ばれる天才ダンサーやモデルもこなす美少年など、世界中から集まった個性あふれる若者たち。スパルタ指導する校長はロシアが誇る伝説のダンサー。厳しい指導に耐え、切磋琢磨(せっさたくま)しながら成長していく青春の日々と、ロシアバレエの魅惑の世界を描く

【語り】原田美枝子

BS1スペシャル LAST DANCE~バレリーナ吉田都引退までの闘いの日々

2020年1月2日 NHK BS1 午後5時00分~

世界三大バレエ「英国ロイヤルバレエ」のプリンシパルにアジア人女性で初めて選ばれた吉田都。53歳でついに引退を決意。カメラは引退までの壮絶な1年に密着。股関節の疲労骨折、ロンドンでの緊急入院、大切な家族との別れ…。それでも悔いのない舞台を作り上げるために妥協なくチャレンジを続ける。しかし本番直前にさらなるトラブルが吉田を襲う…!感動のラストステージまでを追った知られざる300日間の舞台裏の物語。

【出演】吉田都,イレク・ムハメドフ

マリインスキー・バレエ団「ガラ・プティパ」

2020年1月3日 WOWOWライブ 午後6時45分~

2018年、クラシック・バレエの基礎を築いた人物マリウス・プティパの生誕200年を迎えた。プティパは1847年、ロシア・サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場にプリンシパル・ダンサーとして契約して以降、ダンサー、振付家、台本作家として活躍をした人物。1869年には同劇場のバレエ監督に就任し、「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」「白鳥の湖」の三大バレエと呼ばれるチャイコフスキー作品をはじめ、数多くの作品を発表した。
マリインスキー劇場では、3月8日から8月10日まで200年の記念祭が行なわれ、全幕物の上演に加え、記念ガラ公演が開催された。記念ガラ公演の中から、「The Seasons(四季)」「真夏の夜の夢」「眠れる森の美女」の3演目をお届けする。

クラシックバレエの基礎を築いたマリウス・プティパ生誕200年記念。本家マリインスキー・バレエ団の記念ガラ公演の中から、プティパ振り付けの3演目を放送。

マリインスキー・バレエ団「海賊」

2020年1月3日 WOWOWライブ 午後9時00分~

クラシック・バレエの父、マリウス・プティパが生み出した多くの古典の名作を最も美しいスタイルで今に伝えているマリインスキー・バレエ団。この歴史あるバレエ団によって上演された壮大な空想ロマン・バレエ「海賊」をお届けする。19世紀に活躍した詩人ジョージ・ゴードン・バイロンの詩に基づいて創作された、オスマン帝国が支配していた地中海を舞台にした海賊たちによる愛と冒険のステージ。
【ストーリー】
海賊たちを乗せた船が嵐で難破し、海辺に首領のコンラッド(ティムール・アスケロフ)、アリ(キミン・キム)、ビルバント(イスロム・バイムラードフ)の3人が打ち上げられる。そこにギリシャの若い娘メドーラ(アリーナ・ソーモワ)が通り掛かり、3人は助け出される。そしてお互いを一目見て、惹かれ合うコンラッドとメドーラ。コンラッドたちが海賊だと知ったメドーラは、トルコ軍から彼らを隠そうとする。しかし、メドーラと友人のギュルナーラ(ナデージダ・バトーエワ)はトルコ軍によって捕らえられ、奴隷商人のランケデム(フィリップ・スチョーピン)に引き渡されてしまう。
奴隷市場では、富豪のパシャ(ソスラン・クラエフ)たちの前で、捕らえられてきた娘たちが次々と売りに出されていた。そこでメドーラが競売にかけられると、奴隷を買いに来た商人に変装したコンラッドたちが姿を現わし、ランケデムと戦いを繰り広げる。

陽光あふれる地中海、美丈夫の海賊たちが美女をめぐり大立ち回りをする空想ロマン・バレエ。マリインスキーの至宝アリーナ・ソーモワが世紀の美女を演じる。

英国ロイヤル・バレエ団「眠れる森の美女」

2020年1月7日 WOWOWライブ 午前10時00分~

これぞ、英国ロイヤルバレエ団の王道。世界にその名を知らしめた古典バレエの最高傑作、絢爛豪華な伝統の演目である「眠れる森の美女」をお届けする。
振り付けは、19世紀から20世紀初頭にかけて、ロシアのマリインスキー劇場でダンサーや振付家として活躍し、クラシック・バレエの礎を築いたとされるマリウス・プティパ。時代を超えて今もなお多くのバレエファンから愛されているチャイコフスキーの音楽とプティパの振り付けに合わせ、英国ロイヤル・バレエ団が誇るトップダンサー、プリンシパルたちが舞う。
【ストーリー】
王ときさきの間に姫が生まれる。早速、洗礼式が行なわれ、姫の名付け親となる6人の妖精たちが国中から呼ばれた。洗礼式の後に開かれた宴会にも6人の妖精たちは出席。だが、そこにひとり年老いた妖精もやって来た。この妖精はすでに死んだか魔法に掛けられたと思われていたので、招かれていなかった。王は急ぎ年老いた妖精にも食事を振る舞う。だが、突然の来訪で準備が間に合わず粗末な食器となってしまい、年老いた妖精の怒りを買う。宴会では、妖精が生まれた子に言葉を贈る習わしになっていた。その言葉は現実になる力を持っているのだ。年老いた妖精は、姫に先のとがった糸巻きの道具に刺されて死ぬだろうと呪いを掛ける。それを聞いた6人の妖精のひとりが、死なず眠りにつくだけで100年後にある国の王子が姫を目覚めさせてくれると、呪いを完全に解くことはできなかったものの和らげてくれた。果たして十数年後、姫は長い眠りにつくのだった。

これぞ、英国ロイヤルバレエ団の王道。世界にその名を知らしめた古典バレエの最高傑作、絢爛豪華な伝統の演目である「眠れる森の美女」をお届けする。

ビクトル・ウリャテ・バレエ『恋は魔術師』

2020年1月1日 クラシカ・ジャパン 午前0時00分~

スペイン屈指のバレエ団が、ファリャの傑作『恋の魔術師』で描く愛の諸相。名舞台が、ウリャテ自身によって装いも新たなバージョンへ。

スペインのマドリードにあるビクトル・ウリャテ・バレエ団は、アメリカン・バレエ・シアターで活躍したアンヘル・コレーラ、英国ロイヤル・バレエのプリンシパル、タマラ・ロホやミュンヘン・バレエのルシア・ラカッラなどを輩出し、身体能力と技術レベルの高いダンサーが在籍することでも定評のあるバレエカンパニーです。
この番組は、スペインにおけるオペラとバレエの殿堂テアトロ・レアルで上演されたビクトル・ウリャテ・バレエ団による『恋は魔術師』。1994年5月に初演されたウリャテの名作が、脚本も照明も衣裳も変わり、当団芸術監督でアンダルシアの鬼才エドゥアルド・ラオの演出によって装いも新たに蘇りました。
『恋は魔術師』はスペインの作曲家ファリャの名作。アンダンルシア地方の若い未亡人カンデーラが二枚目の若者カルメロと恋に落ちますが、死んだ夫が幽霊となって2人の恋路を邪魔するので、カンデーラは友人のロマ娘ルチアに幽霊を誘惑してもらい、その間にカルメロとめでたく……という物語です。
ウリャテはこの原作を柱としつつイマジネーションの翼を広げ、魂の悲嘆や力強い祈り、軽やかに戯れる恋心、艶めかしさや死と隣り合わせの深淵といった、登場人物の心象とさまざまな愛の諸相を幻想的に描き出します。夜の雰囲気の舞台に浮かび上がる赤や青の衣裳のダンサーたちが、古典バレエのテクニックに基づき、フラメンコ風、モダン・バレエ風、アジア風といった多種多様な振付に舞う姿は、まさに洗練の極み。ファリャの楽曲間にオリジナル音楽が挿入され、アンダルシアの名歌手エステレージャ・モレンテとペドロ・シエラ(ギター)の歌と語りを交えるなど、バラエティ豊かな音楽構成にも注目です。
圧巻は有名な「火祭りの踊り」!儀式の緊張感と噴き出す情熱のせめぎあいは、まるでウリャテの師ベジャールの名作『ボレロ』のような興奮を呼び起こします。

アロンゾ・キングの『トライアングル・オブ・ザ・スクインシェズ』

2020年1月2日 クラシカ・ジャパン 午後10時55分~

アメリカで人気のバレエ・カンパニー、面目躍如!不思議な音楽の中で、ダンサーたちが魅せる身体の存在感、生命の躍動感!

ダンスやバレエには抽象的な作品も多いですが、この番組は特に“Don’t think, Feel!”と言えるでしょう。そうすれば、この作品をより深く味わえることができるはずです。
世界的な振付家アロンゾ・キングが1982年にサンフランシスコで創設し、今やアメリカを代表するカンパニーとなったアロンゾ・キング・ラインズ・バレエは、クラシックから最先端のコンテンポラリー・ダンスまでを取り入れる気鋭のバレエ団。この『トライアングル・オブ・ザ・スクインシェズ(水槽のトライアングル)』は、1965年に結成された伝説のロック・バンド「グレイトフル・デッド」の名ドラマーで作曲家でもあるミッキー・ハートの10数曲に振付けられた作品。クリストファー・ハースによる簡素にして美しく効果的な舞台装置、そして絶妙の照明の中に流れるミッキー・ハートのワールド・ミュージック風の音楽は、現代的かつ不思議な世界観を醸し出しています。
そして、ダンサーたちのなんとしなやかな美しさ!フレーズやリズムの心地良さとともに、彼らの手足が伸びやかに交錯し、回り、跳び、まるで生命の躍動そのものが目の前に繰り広げられているよう。多様な肌の色をもったメンバーが在籍するカンパニーですが、特に黒人ダンサーたちが素晴らしく、肢体の美しさや伸びやかな動きには、思わず見とれてしまいます。欧州とはまた違った、アメリカならではの洗練されたアートのようなこの世界を支えるのは、キングの独創的な振付とともに、なんといってもダンサーたちの技量の高さです。高度な身体能力とテクニックを極限まで鍛え上げたクオリティに目を見張ること、間違いなしです。
ドラムの乱打の中、最高のキレをみせるダンサーたちの乱舞。白いカーテンのような背後のスダレを束ねて水槽のようにし、その中で泳ぐようなダンス。やぐらに乗ったり降りたり、男女のセクシーで優雅な動き。ハースの手掛けた舞台装置は、日常的な素材から大胆に、そしてダンサーの動きとのコラボレーションを考えて細心の注意を払って作られ(後半のやぐらはリサイクルされたダンボール!?)、そこにアロンゾ・キングの変化に富んだ振付が合わさることで、見事な相乗効果を生んでいます。最初から最後まで、どこをとっても目が離せない番組です。

マリインスキー・バレエ2011『くるみ割り人形』

2020年1月5日 クラシカ・ジャパン 午前9時20分~

少女のマーシャとプリンセスになったマーシャを別のダンサーが演じるワイノーネン版。ゲルギエフ指揮のドラマティックな音楽に、ソーモワとシクリャローフが美しく躍動する!

クリスマスに観るバレエといえば、なんといってもチャイコフスキー屈指の名作『くるみ割り人形』。この番組は、作品が初演されたマリインスキー劇場で2011年11月に行われた公演です。
全幕バレエの中で最高傑作の一つ『くるみ割り人形』は、これを観て童心に帰らず、メルヘン、ファンタジーの世界に浸れない人はまずいないといえるでしょう。誰もがバレエの愉しさと美しさを堪能できる作品です。特にこの番組は、音楽とバレエ、演劇すべての面が最上のコンビネーションを誇ります。カリスマ音楽監督ヴァレリー・ゲルギエフが指揮するマリインスキー劇場管弦楽団の音色はなめらかで美しく(弦の厚み、管の色彩美!)、劇の勘所を押さえたドラマティックな演奏。それに応えるマリインスキーのダンサーたちは端役まで軽快に、跳躍も高く、しなやかで華麗、優雅なバレエを披露します。名匠シモン・ヴィルサラーゼの写実的な美しい舞台美術も見どころ。
この番組は、少女のマーシャとプリンセスになったマーシャを別のダンサーが演じるワイノーネン版。西欧では主人公名はクララですが、ロシアではマーシャとなります。くるみ割り人形が王子に変身するところから大人のダンサーに入れ替わり、アリーナ・ソーモワとアレクサンドラ・コルシュノワが大人と少女のマーシャを演じ分け、王子は人気ダンサー、ウラジーミル・シクリャローフが踊ります。
第1幕の豪華な舞踏会、おもちゃの兵隊とネズミたちとの戦い、雪の舞う松林での幻想的なパ・ド・ドゥ、第2幕のお菓子の国での次から次へと有名な踊りが出てくるディヴェルティスマン等、どこをとっても見どころ満載。マリインスキー・バレエ学校の子供たちが踊る葦笛の踊りにも観客の愛が感じられます。
王女と王子によるグラン・パ・ド・ドゥは必見で、有名なアダージョでは、王子の他に4人の男性ダンサーが王女をサポートしています。ソーモワとシクリャローフの一つひとつのブレのない動き、回転の速さや的確さ、その表情と佇まいの美しさは圧巻。
バレエを愛する方はもちろん、この機会に子供たちを含め、バレエをまだ観たことのない方にも是非ご覧いただきたい番組です。

マランダン・バレエ・ビアリッツ『シンデレラ』

2020年1月6日 クラシカ・ジャパン 午後9時00分~

兼井美由季が踊るシンデレラの可憐さと、スキンヘッドの男性が踊る継母と義姉さんトリオのコミカルさの対比が鮮やか。コール・ド・バレエの動きとフォーメーションの面白さも必見。ワクワクが止まらない!

フランスとスペインの大西洋側の国境近くの高級リゾート地ビアリッツを本拠地とするマランダン・バレエ・ビアリッツは、パリ・オペラ座やナンシー国立バレエのダンサー出身の振付家ティエリー・マランダンが芸術監督を務め、クラシックバレエとコンテンポラリーダンスを結びつける初の国立振付センターを作ろうというフランス文化・通信省の要請によって、1998年に文化・通産省とビアリッツ市、バスク政府の共同でマランダンが創立した国立振付センターを兼ねるバレエカンパニーです。
この番組は、2014年ヴェルサイユ宮殿の王室オペラ劇場で上演された『シンデレラ(サンドリオン)』。何といってもエウスカディ(バスク)交響楽団が演奏するプロコフィエフの音楽が素晴らしく、洒脱でスマート、そしてアイロニカルな小気味よさとともに、何と楽しいこと!マランダンが音楽と戯れるように振り付けた舞台は、音楽に勝るとも劣らず、実にファンタスティックで鮮やか、愉悦に満ちています。
シンデレラを踊るオリエンタル・ビューティ、兼井美由季さんのロマンティックで憂いある可憐さと、スキンヘッドの男性が踊る継母と義姉さんトリオのコミカルさとの対比が鮮やか。白い床と、たくさんの靴が散りばめられたブルーの壁というステージの中で、クラシックバレエの確かな技術に裏付けられたダンサーたちは、自由でなめらかでシャープな踊りを披露。ソロやデュエットのみならず、コール・ド・バレエの動きとフォーメーションの面白さは必見です。
舞踏会で初めて会うシンデレラと王子が、戸惑いながらも惹かれ、どんどん伸びやかになるワルツの神秘的な美しさ。シンデレラが去った後の王子のおかしいくらいのソワソワ感。一方のシンデレラは、一度夢をみてしまったからこその別れの切なさが音楽からも踊りからも沁みだし、観ている私たちの心を打ちます。もちろんハッピーエンドで、最後のシーンまでお見逃しなく。
次はどんなシーンが出てくるのだろう?と始終ワクワクせずにはいられない、愉悦と幸福の『シンデレラ』です。

アクラム・カーン『チョット・デッシュ』

2020年1月9日 クラシカ・ジャパン 午後11時05分~

バングラデシュ系英国人振付家&パフォーマー、アクラム・カーンが、自身のルーツと若き日の両親との確執を、プロジェクションマッピングを駆使した幻想的な舞台で描いた傑作。

バングラデシュ系英国人振付家&パフォーマー、アクラム・カーンは、シルヴィ・ギエムや女優ジュリエット・ビノシュなど多くのアーティストとの刺激的なコラボレーションでも知られ、北インドの古典舞踊様式「カタック」とコンテンポラリーダンスを融合させた民族色の強い独自のスタイルで世界的な人気を博しています。
『チョット・デッシュ/Chott Desh』は、2011年に初演された彼の代表作『デッシュ/Desh」を、7歳からの子供たちとその家族という観客に向けて改作したもの。「Chott Desh」とはベンガル語で「小さな祖国」という意味。ロンドン郊外で生まれ育ったバングラデッシュ移民二世の少年が、ダンサーを夢見ながら、父親が体験した祖国の歴史、夢と現実、英国とバングラデッシュという2つの文化のアイデンティティと向き合い、自身のルーツを辿ります。
2018年8月には日本各地で『チョット・デッシュ/Chott Desh』来日公演が行われ。ダンスやパントマイム、アニメーション(プロジェクションマッピング)、影絵、台詞、音楽などあらゆる手法が駆使され、子供から大人まで誰もが楽しめるファンタジーな世界をご覧になられた方も多いのではないでしょうか。
今回カーン自身は踊りませんが、バングラデシュ人の父とフィリピン人の母を持つダンサー、デニス・アラマノスが全編にわたり素晴らしい一人舞踊を披露。日本公演でも話題を呼んだ、スキンヘッドの頭頂部にペンで顔を描き、それを前方に向けながら父親を演じるユニークなダンスや、ボートで川を上り、鳥やワニやゾウなどの動物と出会い、大きな木に登ってハチの巣から蜜をとって食べるといった、プロジェクションマッピングと緻密に動きを同調させるシーンなど、若き日の孤独や悩み、父と息子の葛藤を描きながらファンタジーとノスタルジーが交錯する、まるで絵本のような美しく幻想的な舞台です。
美術&映像を担当したティム・オップは、ジョン・ウー監督の映画『男たちの挽歌』など数々の映画や舞台で衣裳・美術デザイナー、アートディレクターとして活躍し、アン・リー監督の『グリーン・デスティニー』ではオスカーも獲得しました。音楽は、スタンリー・キューブリックの遺作『アイズ・ワイド・シャット』を手掛けたジョスリン・プーク。衣裳は、ロンドンを拠点にアクラム・カーンの他作品や、2018年1月には英国ロイヤル・オペラ『ウリッセの帰還』でも注目を浴びた中野きみえ。
コンテンポラリーダンスは難解と思われがちですが、理解するのではなく、ダンスそのままを感じるだけで、見る人それぞれの楽しみ方ができることを、この番組で体感してみてください。

思ったよりも盛り沢山になってしまいました。
是非堪能してください。

それでは、みなさまよいお年をお迎えください。

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